明治村賞決定

1993年05月

明治時代を主題とする学術・芸術の功績を顕彰する明治村賞(財団法人明治村主催)の第19回の受賞者は、歴史家の萩原延寿、比較文化史研究家の芳賀徹に決まった。贈呈式は6月15日、東京・丸の内の東京会館で行なわれた。

重要文化財(建造物)新指定、「近代化遺産」を含む

1993年05月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は14日、青森県の長勝寺本堂、庫裏など10件を新たに重要文化財に指定するよう森山文相に答申した。その中の秋田市の藤倉水源地水道施設(秋田市水道局)と群馬県の碓氷峠鉄道施設(国鉄清算事業団)は、文化庁が平成元年から調査を進めてきた「近代化の遺産」としての初めての指定となる。今後も各都道府県1件程度、「近代化の遺産」を重要文化財に指定していく方針。また同時に、山岳信仰の宿場として知られる山梨県早川町赤沢伝統建造物群保存地区を重要伝統的建造物群保存地区に指定するよう答申がなされた。 

文化財新指定(美術工芸品、史跡、名勝)

1993年04月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は16日、奈良市円成寺の運慶作「木造大日如来坐像」を国宝に、京都国立博物館蔵の雪村筆「紙本墨画淡彩夏冬山水図」など38件を重要文化財に、史跡8件、名勝1件、天然記念物2件を新たに指定するよう森山文相に答申した。これで国指定の重要文化財は9684件(うち国宝は830件)となった。

文化財保護企画特別委員会中間報告

1993年04月

文化財保護の現状と指針を検討してきた文化財保護企画特別委員会(座長=加藤秀俊放送大学教育開発センター所長)は、16日、約1年間の成果を文化財保護審議会に中間報告した。この報告は「時代の変化に対応した文化財保護施策の改善充実」と題され、国の指定品以外の文化財を登録しておき、現状変更、処分に際して届け出を義務づける「登録制度」が提言されたほか、文化財保存修復士、文化財修理技能者(いずれも仮称)の資格制度の導入、「国際文化財保存修復協力センター(仮称)」設置構想等が提示された。

「パウルクレーの芸術」展

1993年04月

1987年にMoMA(ニューヨーク近代美術館)、クリーヴランド美術館、ベルン美術館で開催された回顧展以来、作品保存の見地からまとまった作品貸出を行なってこなかったパウル・クレー財団が、1991年に開始した全作品カタログ刊行事業に寄与するものとして十数年ぶりに多数の作品を出品する本格的回顧展「パウル・クレーの芸術」展が、2日から愛知県美術館で開かれた(~5.23)。油彩、水彩、素描等総計276点が展示され、制作の展開が跡づけられた。同展は山口県立美術館(6.1~7.25)、Bunkamuraザ・ミュージアム(7.31~9.21)に巡回した。

「大和古寺の仏たち」展、「鎌倉仏教高僧とその美術」展

1993年04月

日本の仏教美術の宝庫である大和諸寺から仏像42件を出品、展示する「大和古寺の仏たち」展が、13日より東京国立博物館で開かれた(~5.23)。飛鳥時代から鎌倉時代までの国宝、重要文化財が一堂に会する充実した展観となった。また、日本の仏教史上で画期的な一時期である鎌倉時代を、高僧の筆跡、肖像のほか関連する美術作品で跡づける「鎌倉仏教 高僧とその美術」展が24日から5月30日まで奈良国立博物館で開かれた。「南都仏教の復興」「新仏教の誕生と展開」「禅宗の受容と進展」の3部で構成し139点が展示された。

自治省、公立美術館の全国的ネットワーク後援

1993年03月

近年の相つぐ美術館新設に伴い、公立美術館相互の情報交換、作品貸借をより有効に行なうことを目指した全国的ネットワークづくりに自治省が乗り出した。同省ではすでに昨年12月に「公立美術館等の活性化に関する調査・研究会」(座長・前川誠郎新潟県美術博物館館長)を設置。85年末に131館であった公立館が90年末には180館にのぼり、同時期に相似た展覧会企画がかちあうようになったこと等の問題を解決し、複数館で資金等を負担する共同事業として大規模な展覧会を巡回する等の方向をさぐる。自治省では共同事業に地方交付税措置等の形で資金援助する制度も新設する意向である。

五島記念文化賞決定

1993年04月

美術、オペラの分野での新人の活躍を顕彰する五島記念文化賞(五島記念文化財団主催)の第4回目の受賞者が決定。美術関係では、美術新人賞に矢延憲司(彫刻)、岡村桂三郎(日本画)、土屋公雄(彫刻)、神内康年(陶芸)が選ばれた。

ルーブル美術館200年展

1993年03月

今年で開館200年を迎えるルーブル美術館の30万点におよぶ所蔵品の中からヨーロッパ絵画の精華を示す95点を展示する「ループル美術館200年展」が20日から神戸市立博物館で開かれた(~5.9)。「王室コレクション」「フランス革命から第2帝政末にいたる芸術政策」「大コレクター、ルーブル友の会による寄贈」「歴代学芸部長の選択と代物弁済」「描かれたルーブルの歴史」の5部で構成し、ルーブル美術館の足跡と、16世紀から19世紀に至る西欧絵画の流れを展観する充実した展覧会となった。

日本芸術院賞決定

1993年03月

日本芸術院(犬丸直院長)は24日、1992年度(第49回)の日本芸術院賞に10名を内定。美術関係では恩賜賞・日本芸術院賞に洋画家の藤本東一良(第24回日展出品作「展望台のユーカリ」に対して)、日本芸術院賞に日本画の岩沢重夫(第24回日展出品作「溪韻」に対して)、工芸の中井貞次(第23回日展出品作「原生雨林」に対して)、書の尾崎邑鵬(第24回日展出品作「杜少陵詩」に対して)、建築の安藤忠雄(姫路文学館などのコンクリートの素材を生かした一連の建築設計に対して)が選ばれた。授賞式は5月31日、東京・上野の日本芸術院会館で行なわれた。

江戸東京博物館開館

1993年03月

27日、東京・両国に江戸東京博物館が開館。地下1階地上7階で建築物の復元展示など大がかりな展示を特色とする。建設費約590億円、敷地面積約3万平方メートル、延べ床面積は48000平方メートルで、所蔵品公開や企画展のための展示室のほかに映像ライブラリー、映像ホール、伝統芸能鑑賞ホール、江戸東京ひろばなど多様な機能をあわせ持つ。「江戸から東京へ続く歴史と文化の移り変わりを一望できる」施設をめざす。近年、江戸時代への関心が高まっているのに加え、同館開館を記念して「21世紀東京新聞フォーラムシンポジウム」等も開かれ、28日の一般公開開始から1週間の入場者は83500人にのぼった。

平木浮世絵美術館オープン

1993年03月

浮世絵専門の美術館として親しまれてきたリッカー美術館(運営・平木浮世絵財団)が東京・銀座のリッカービルから横浜そごう百貨店内に移転し、平木浮世絵美術館としてオープン。故・平木信二の蒐集品に戦前の三原、斎藤コレクションを加えた平木コレクションを所蔵する。開館記念展は「ドイツ ノイエ・ピナコテーク帰朝記念-浮世絵名品展」(3.4~4.12)。

人間国宝指定

1993年03月

文化財保護審議会(鈴木勲会長)は19日、新たに3名を重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定するよう森山文相に答申した。美術関係では練上手の松井美明(本名松井康成)、鋳金の斎藤明が認定されることとなり、これで人間国宝は49分野の70名となった。また、工芸技術の部として伊勢型紙を指定し、伊勢型紙技術保存会を保持団体として認定すること、規矩術を選定し、その保持者に持田武夫を認定、また、既に選定されている檜皮葺、柿葺の技術保持者に村上栄一を追加認定することもあわせて答申された。

MoMA展開催

1993年02月

米国ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)所蔵品の中から絵画52点、彫刻8点を展観するMoMA展が、東京・上野の上野の森美術館で6日から開かれた。同館館蔵品がまとまって海外に展示されるのは今回が初めて。ゴッホの「星月夜」、アンリ・ルソーの「眠るジプシー女」等が出品され、当初の予定を1週間延長して5月16日まで展示。60万人を越す入場者があった。

芸術選奨文部大臣賞受賞者決定

1993年02月

平成4年度(第43回)芸術選奨文部大臣賞、同新人賞の受賞者が26日、文化庁によって発表された。美術関係では文部大臣賞にグラフィックデザイナー勝井三雄(ポスター「アイムヒア」の作風に対して)、美術史家森洋子(著作「ブリューゲルの諺の世界」に対して)、新人賞に内藤広(三重県鳥羽市の海の博物館に対して)、木下長宏(著作「思想史としてのゴッホ-複製受容と想像力」に対して)が選ばれた。

重要文化財新指定

1993年01月

文化財保護審議会は22日、新たに建造物9件20棟を重要文化財に指定するよう森山文相に答申した。神社建築では櫛引八幡宮本殿、旧拝殿など5棟(青森県八戸市)、諏訪社本殿など2棟(長野県泰阜村)、若宮神社本殿(滋賀県安曇川町)、一宮神社本殿(徳島市)、寺院建築では上国寺本堂(北海道上ノ国町)、観音寺本堂、鐘楼など3棟(滋賀県山東町)、民家建築で既に指定されている2件に付属する住宅として、旧目黒家住宅新座敷(新潟県守門町)、黒田家住宅米蔵など2棟(静岡県小笠町)が指定対象とされ、これで国の建造物関係の重要文化財は2913件3452棟、うち国宝は207件249棟となった。

橿原神宮神楽殿焼失

1993年02月

4日午後1時45分ころ奈良県橿原市久米町の橿原神宮(山田正宮司)境内の神楽殿から出火し、木造平屋建て264平方メートルを全焼した。神楽殿は京都御所にあった神嘉殿を1889年に移築したもので江戸中期の貴重な建築物として国の重要文化財に指定されていた。同殿は檜皮ぶきで、同殿の西約15メートルにある焼却炉の火の粉による失火と見られる。

毎日芸術賞決定

1993年01月

第34回毎日芸術賞受賞者が1日発表された。美術関係では洋画家の猪熊弦一郎(「祝90祭猪熊弦一郎」、1993.10.22~11.3ギャラリー・ミキモト、に対して)、書家の金子聴松(「金子聴松書展」に対して)が選ばれた。

第36回安井賞

1993年01月

具象絵画の登竜門とされる安井賞の第36回受賞者が12日の選考委員会で決定され、応募総数241作家384点の中から安井賞に平岡靖弘「陸に上がった船(3)」、佳作賞に鴫剛「ENOSIMA higashi hama」が選ばれた。第36回安井賞展(主催・財団法人安井曽太郎記念会、毎日新聞社、セゾン美術館)は、2月26日から3月28日まで東京、池袋のセゾン美術館で開かれ、その後静岡県浜松市、兵庫県尼崎市、福島県いわき市、広島県尾道市、島根県松江市、長野県松本市、北海道帯広市を巡回した。

朝日賞決定

1993年01月

わが国の文化・社会の発展、向上に多大な貢献をした個人または団体に贈られる朝日賞受賞者が1日に発表された。美術関係では建築家槙文彦(長年にわたる都市デザインと現代建築への貢献)、日本史学者で明治美術研究会会長の大久保利謙(日本近代史学の確立と基礎資料の収集・保存に貢献)が選ばれた。同賞は1929年に朝日新聞社が創設し運営に当たってきたが、1992年5月の朝日新聞文化財団設立に伴い、同財団に移管された。これで同賞の1回以来の受賞者は341人と24団体となった。